何年も前に、カメの好きな娘と読んだ絵本が、自分に刺さってしまったことがあったな。
『ヒワとゾウガメ』
安東みきえ・さく/ミロコマチコ・え/佼成出版社(2014年)
だ。
佼成出版社-書籍紹介より
長く生きるものの宿命として、今までたくさんの友達を見送ってきたゾウガメは、そんな思いをするなら、もう友達などいらないと思っていた。
だから、毎日、自分の甲羅に乗って、おしゃべりしにくるヒワのことがうっとうしくてならない。
でも、ある日、自分と同じくらい長生きの「ゾウ」という生き物の存在を知り、ゾウガメは胸がおどった。
そんなゾウガメのために、ゾウをさがしてくると言って、海のかなたに飛びたったヒワだったが、幾日も戻らなくて……。
自分の身近にいる、かけがえのない大切な存在に、改めて気づかせてくれる作品です。
表紙折り返しにはこうある。
「ねえ、きみは ともだちでいてくれるっていう。ずっといっしょだって。いつも そういう。けれど、そんなわけは ないじゃないかー。 」
“そんな思いをするなら”って、その気持ちも分かるけどさ、私の性格はヒワの方でね。
「『そんなわけは ないじゃないか』ってなぜ決めつける? そっと受け取ってくれればいいんだよ」と、私は読むたびに心の中でゾウガメに語りかけるのだ。