右手の役割

私は生まれつきは左利きで、小学校に上がってから右手に矯正された。周囲からは「両方使えていいね」とよく言われたが、何も良くない。右利きの人の右手が全体100のうち90の能力だとすると、私の右手は60くらい、作業によっては70だったり逆に40だったり。つまり不器用なのだ。

何よりしっくりこない。子どもの頃は左手で絵を描いているときと左手でスプーンを持って食べるときが一番自分らしい時間だった。小学校高学年の頃には右手の使用に慣れきっていたけれども、それでも右手は利き手のようで利き手じゃない手という認識だった。


この絵だって、左側の左手で描いた絵が私らしい、私の絵。
だけど⋯⋯
右手のこの癖の無さはなんだ!?


私の演奏も、もしかしたらこの構造なのかもしれない。私の演奏はよく「癖がない」「何でも弾ける」と言われてきた。それはきっと私の右手の特殊性のせいだったのだ。

私の左手は創作者、右手は職人てところか。

主張をせず、線や音を整えるため、私の要求に純粋に応えてきたのが私の右手だったのだ。

左手で描いて

右手で整える。
いいじゃないか、私の右手。