角灯


描けない以上に深刻なのは、曲が作れないことかもしれない。教則の曲はどんどん書いてたけど、仕事じゃない曲、創作はここ数年まともに動いていない。
教則に載せる曲は「学習段階を守った、小節数が8の倍数の曲」という枠組みがあったから、それに沿って作れた。

演奏は、正確に弾けるし綺麗に弾ける。ここ数年、それが美しいと思ってた。でも最近、それだけのような気がしてきた。


ここ数年のうちに1曲だけ、しっかりと歌まで作った曲がある。

4年ほど前に、高浜寛の『ニュクスの角灯』(ニュクスのランタン)を読了後、泣きながら防音箱に籠もって作った。

なぜ、そんなことをしたのか。それの答えは明白だ、心が強く動かされたからだ。

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今日、その曲を弾き語りしてみたけど、途中で神経が焼き切れそうになった。今の私には強すぎる、扱えない。

なんでだよ!!

こっちの創作の出口まで処々詰まっている、絵だけじゃなく音楽まで。

これをすることに意味があるのか分からないけど、適切に扱ってくれる友人にこの曲の譜面データを渡すことにした。詰まらせたままよりはいいかと思って⋯。気が向いたらライブで歌ってくれるだろう。