私は20代の半ばから主食を玄米にしている。
栄養価が高いからという色気のない理由で始めたのだが、今は玄米のほうが美味しいと思うようになった。
子どもが生まれてから離乳食は白米がゆを作ったが、普通食になってからは3分〜5分づき玄米や、玄米と白米を混ぜて炊くなどして、子どもが食べやすいようにしていた。
夏休み最終日、科学館休憩所ででおにぎり専門店のおにぎりをたべながら娘(小5)が言った。
「給食でたまーに玄米がでるとみんな嫌がってあんまり食べないんだよ、なんでだろ?」
ん?
なんでだろって、なんでそんなことを…………
あ!!!
そうなのである、ここでようやく私は自分のやってきたことの重大さに気づいたのである。私は恐る恐る娘に尋ねた。
「えーっと、おばあちゃんのうちや親戚のおうちで白米がでるのは…」
「私たちのことを歓迎して白いご飯を炊いてくれてる」
わー!本気で言ってるよ!! 大正期の米の価値観を持った令和キッズがいま目の前に!!!
「えっと、じゃあ、おにぎり屋さんのおにぎりが白米なのは?」
「玄米だと米粒同士がくっつかないから」
ソ、ソウデスヨネ……。
「じゃあ給食で白米ばかり出るのは?」
「子どもが食べやすいように……?」
そこは整合性が取れてないみたいだな。
うむ、このままではマズイ。これはきちんと伝えておかなくてはいけないだろう。娘さん、あのですね、
「世の中のほとんどのご家庭では白米を食べているんですよ」
「えええええ!!!」
わあ、天地がひっくり返ったような反応したよ。けど
「そうかぁ、給食で白米ばかり出してて予算は大丈夫なのかなって思ってたんだー」
納得した。やはり辻褄が合わない部分があったんだよな、て、給食の予算の心配までしてたんかい! しかし最後に
「玄米の茶色い部分を捨てたら勿体なくない?」
と言ったので、家庭の影響力の強さは恐ろしいと思った。
白米がごちそうという価値観で生きていけるのは強みだと思うけど……